山の音(Yama Note)

#4 加賀禅定道(ぜんじょうどう)

山の音(Yama Note)
檜新宮にこもった行者が遥拝したであろう白山

日本に数多くある信仰の山のなかで、白山を特徴づけるものとして、加賀・美濃・越前の三方から延びる禅定道と呼ばれる道の存在が挙げられると、ぼくは思っています。

白山比咩(しらやまひめ)神社に伝わる古文書には、天長9(832)年に三方の馬場(ばんば)が開かれ、そこから御山に参詣すると書かれています。

馬場というのは、信仰・登拝の拠点のことで、加賀馬場はいまの白山比咩神社にあたります。

昔は、そこから手取川に沿って遡り、中宮・尾添(おぞ)を経て、一里野高原の先にあるハライ谷から白山山頂に達していました。山道の部分は廃道になっていましたが、1987年に復元され、現在、白山登山道の一つとして利用されています。

途中には、昔の行場(ぎょうば)であった檜新宮(ひのしんぐう)跡や宿泊施設であった室(むろ)跡の石垣などを見ることができます。

小さな祠と解説版がある檜新宮跡
展望台から望む百四丈(ひゃくよじょうの)滝

室堂からハライ谷の登山口まで18㎞もあり、下りに取っても1日ではなかなかたいへんな健脚向きのコースですが、遺跡や高山植物など見どころも多く、千二百年に及ぶ信仰の歴史と往時をしのびながら歩く禅定道は、白山ならではの山道といえるでしょう。(文:のんべぇ)

昔の宿泊施設・天池室(あまいけむろ)の跡と四塚山
天池室の石垣
天池から室跡の石垣を望む
大汝峰遥拝の聖地だと思われる四塚山
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